元 河川監理員による河川情報

     河川管理者が行っている「除草」の目的は、地域を守る河川管理施設の「堤防を点検するため」です。したがって除草範囲は基本的 に「堤防」であり、河川敷は除草しないんです。

     ですが、河川近隣に住んでみえる方から「河川敷の雑草が伸びてきた。早く草を刈れ」とか怒られます。
     河川敷の公園などは、施設管理者である自治体が草刈を実施し、河川管理者は、河川の流化能力を高めるために大掛かりな樹木伐採 を実施します。そして、いちばん感謝していることは、公園や道路や歩道で実施すると同様に河川についても、ボランティア精神で草 刈やゴミ拾いをやってくれる方々が多いということです。




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    365日の河川管理
     各地の河川管理者は、365日の河川管理といって洪水時や渇水時だけでなく、平常時から河川の状況を的確に把握して、昨日の河 川状況と今日の河川状況は違うのだという維持管理、河川整備をしてきました。現在もどこの部署でもあたりまえに実施しているとこ ろですよ。

     この平常時のきめ細かい河川管理があればこそ、イザという時に役立つ災害対応のノウハウを幅広く蓄積できるのだと思います。
     今、大災害が発生した場合でも、全国各地の職員が広域的な連携体制をとり、県をまたいで全国どこでも出動します。「TEC-FORCE 」というチームを新聞で見た方もいるでしょう。それです。このように、私達はイザという時に、全国に張り巡らされた情報網やその 蓄積データの活用、及び数々の実務経験に基いた緊急復旧や応急対策に必要な能力を持つ相当規模の動員など、機動的に対応すること が可能なのです。

     このような、県や自治体にはマネできない役割は、もっとPRしてもいいんじゃないでしょうか。役割は今後も確実に果たしていか なければいけないと思います。

     しかし心配なのは、公共事業の地方分権、出先機関の廃止や縮小という方向が出ている事です。今までのようにきめ細かな河川管理 は今後必要ないので管理体制を縮小しようと決定されてしまうんでしょうか?そんな事は無いんですかね? 

     現在、目立ちもしない「河川の安全・安心」の裏側には何があるのかを皆にもっと知ってもらいたいです。

     無駄な事業を縮小し効率化を図ることは大切だと思いますが、河川事業は、開発主体の道路事業と違って守りが主体の治水事業です 。地域住民へ自主的な危機管理をするように啓発する事や、関係者へ十分な調整も完了していない状況で、河川管理体制を縮小してし まうことの無いようにお願いしたいですね。

     今までの高レベルの河川管理・整備を今後も保てるのか、それとも今までより災害対応レベルを下げて、沿川住民の自主的努力に賭 ける部分を多くするのか、本当にどうなるんでしょうか。これで良いのか本当に心配なんです。




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    河川の安全と安心を目指して
     大昔、川には堤防が無く、大雨による洪水のたびに川筋が変化していたらしいです。水の補給が便利な川の周辺は農耕地として利用されており、洪水時に田畑に浸水した河川水が引いた後には、上流部から運ばれた肥えた土砂が残り、良い耕作地になったということです。

     しかし、川の位置が変わるたびに川の近くへ大移動をしながら原始的な農業をしていた住民は、収穫の安定化を図るために河川の流路を固定することにしました。堤防をつくり河川を定位置にしたのです。


     そのころから、「治水事業」が始まったと、ある資料で読んだことがあります。なるほど。

     造られた堤防の中には、連続した堤防ではなく途中にわざと切れ目を入れて増水時の河川水を農耕地に浸水させ、水位低下時には自然と水が引いていく仕組みの堤防も各地に作られたといいます。「霞堤防」という名称なので検索してみてください。各地にまだ残っているものもあるそうです。

     昔は、このような工夫もしながら、大自然である河川の危険性を十分承知の上で、その自然を上手に利用して生活してきたのです。

     そして長い年月をかけて、上流部にはダムが造られ堤防の改修も進んだおかげで、過去に比べて格段に河川の安全性が高くなりました。

     そうすると、今まで農耕地しか無かった河川付近にも、ついに住宅が建つようになってきました。思い切った決断です。氾濫を繰り返してきた大自然を堤防で閉じ込めた人間は、次のように思いはじめました。


    「危険は川の中だけでおこるものであり、我々の住んでいる地域は安全だ」と。


     しかし、今では誰もが知っています。河川は安全第一ではないことを。現代人は危機管理意識が高いんでしょうね。


     安全第一を誇る都市部に流れる河川は、リスクがいっぱい。私が以前いた職場でも、河川管理者も365日の河川管理ということで、渇水時、洪水時、そして平常時の河川機能も重視して取り組んでいました。

     不要な河川事業は中止だとか、事業進捗が遅い、災害時の情報連絡や管理機器操作体制の不備、行政なんか役に立たないなど、地域住民からの指摘を踏まえ河川管理者は真面目に努力してますよ。河川の防災対策や安全利用対策で成果を出すように。

     現在では、こんな行政の対策と併行して、地域住民自身が最大の危機を想定して防災対策しています。自分自身が被災しないように考えて、自分のできることは自分で対策していけば、被災減少の効果も非常に高いと思います。お役所任せじゃないところがいいですね。

     とにかく、河川においても被災する人を出したくないという思いだけで書きました。毎度の乱筆でスミマセン。


    ■判例等でチェックする河川管理者のやるべきこと

    ①施設の計画的な点検とその記録は必要。危険が想定される場合は最低注意看板等の設置も考えられる

     営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠き、他人に危害を及ぼす危険性のある状態をいい、このような瑕疵の存在については、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的、個別的に判断すべきものである。


    ②整備計画に基づき河川管理等、対策していることが必要

     過去に発生した水害の規模発生の頻度、発生原因、被害の性質降雨状況、流域の地形その他の自然的条件、土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情を総合的に考慮し、河川管理における財政的、技術的及び社会的諸制約のもとでの同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しうる安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきである。

     改修計画に基づいて現に改修中である河川については、計画が、全体として、過去の水害の発生状況その他諸般の事情を総合的に考慮し、河川管理の一般水準及び社会通念に照らして、格別不合理なものと認められないときは、その後の事情の変動により未改修部分につき水害発生の危険性が特に顕著となり、早期の改修工事を施行しなければならないと認めるべき特段の事由が生じない限り、当該河川の管理に瑕疵があるということはできない。

     工事実施基本計画に準拠して新規の改修、整備の必要がないものとされた河川における河川管理の瑕疵の有無は、同計画に定める規模の洪水における流水の通常の作用から予測される災害の発生を防止するに足りる安全性を備えているかどうかによって判断すべきである。

     河川の改修整備がされた後に水害発生の危険の予測が可能となった場合における河川管理の瑕疵の有無は、過去に発生した水害の規模、発生の頻度、発生原因、被害の性質降雨状況、流域の地形その他の自然的条件土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情並びに河川管理における財政的、技術的社会的諸制約をその事案に即して考慮した上、右危険の予測が可能となつた時点から当該水害発生時までに右危険に対する対策を講じなかったことが河川管理の瑕疵に該当するかどうかによって判断すべきである。

     河川は、当初から通常有すべき安全性を有するものとして管理が開始されるものではなく、治水事業を経て、逐次その安全性を高めてゆくことが予定されているものであるから、河川が通常予測し、かつ、回避し得る水害を未然に防止するに足りる安全性を備えるに至っていないとしても、直ちに河川管理に瑕疵があるとすることはできず、河川の備えるべき安全性としては、一般に施行されてきた治水事業の過程における河川の改修、整備の段階に対応する安全性をもって足りるものとせざるを得ない。そして、河川の管理についての瑕疵の有無は、過去に発生した水害の規模、発生の頻度、発生原因、被害の性質、降雨状況、流域の地形その他の自然的条件、土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情を総合的に考慮し、河川管理における財政的、技術的及び社会的諸制約のもとでの同種・同規模の河川の管理の一般的水準及び社会通念に照らして是認し得る安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきであると解するのが相当である


    ③占用させられない案件は放置せず原因者へそれを認識させる。計画的な是正指導が必要

     公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されることもなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、右公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当である。


    ④道路管理とその緊急度等が異なるとしても、「計画どおりの河川巡視」を実施し記録することが必要

     幅員7・5メートルの国道の中央線近くに故障した大型貨物自動車が約87時間駐車したままになっていたにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全保持のために必要な措置を全く講じなかった判示の事実関係のもとにおいては道路の管理に瑕疵があるというべきである。

     ※これらは、私自身が行動するためのチェック資料の一部に過ぎず、誰もがこれをマニュアルにして、言い訳を考えて仕事しているというわけではありません。(念のため)


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    堤防除草した刈草が萌える?燃える!
     堤防除草すると火災防止にもなるので、これからの冬季を向かえ効果的な作業ですが、ひとつ注意しなければなら ない事があります。

     堤防上に仮置きした刈草が燃える!

     除草後に刈草を乾燥させるため、堤防上に仮置きすることがよくありますが、その刈草が何らかの原因で出火する のです。よく言われるのが焚き火による引火や、タバコの投げ捨てによる引火です。堤防上やその付近の橋を徒歩や 自転車、クルマで走行中にタバコを投げ捨てたことも原因のひとつとして想定されます。超常現象による自然発火な どより原因としては多いでしょう。

     この火災が堤防だけで済んでしまえばまだマシですが、飛び火して河川付近の家屋等が類焼したら最悪です。もし かして河川管理者に対して河川管理上の責任が問われるのでしょうか?

     問われるでしょうね。

     いくら堤防除草工事期間中に限る仮置きだとしても、刈草を積置きした場所は、堤防道路の利用状況などからみて も社会通念上、当然に予測される火災発生しやすい場所です。

     この工事が河川管理者による堤防除草工事として実施されていることからも、管理瑕疵は問われると思いますよ。

     これから乾燥した寒い季節になりますが、万全の注意をしたほうが良いですね。




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    2Hルール
     2Hルールってなんだろう?「2時間(2hour)でオシマイよ!」っていうルールなんだろうか?

     いえ違います。河川堤防の安全性を確保するために必要なルールなのです。

     堤内地(堤防より街側の地域)において、堤防近くで工作物を設置する場合は、河川管理者により工作物の設置者に対して設置計画を確認します。確認資料として提出していただく資料のうち断面図について、工作物が堤防に一番接近している箇所へ2Hラインを記入してねとお願いしています。

     たとえば、家を建てるために必要な「建築確認申請」前の計画打合せなどで、建築士や関係自治体へ相談したりして建築計画に適合する土地かどうか、用途地域や地盤の状況など調査を行うことが大切です。自治体からも河川保全区域については説明があり、河川管理者へ相談に行ってくださいねといわれると思われます。

     この2Hルールについては、もっと緩和して欲しいという意見もあり、行政機関から発表されている運用などもあるようです。<下記参考>

     一般的には、長く連続した地中壁では無く、杭基礎工事ならば設置可能とされます。堤防の浸潤面へのい影響を調べるのです。HWL(ハイウォーターレベル=計画高水位=)の洪水による影響を検討し必要な対策を実施するのは、河川管理者としてあたりまえの事なのです。


     河川保全区域内の行為については、以前も記載してますのでそちらも御覧ください。
    河川堤防の近くで支障となる行為?

     また、国土交通省河川局治水課のホームページに「河川敷地及び河川保全区域における工作物の設置の事例について」の情報がありましたので参考にリンク先を紹介いたします。
    河川敷地及び河川保全区域における工作物の設置の事例について



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