元 河川監理員による河川情報
    不法係留船
     当時、河口部へ両岸ぎっしりと小型船舶が係留していました。

     河川巡視により、不法係留している船舶は全て確認記録済みです。新たな船舶を発見すると、まず所有者が現場に居れば、状況を確認し注意指導をします。海からやってきて一時的に河岸につけた人もいるので事情を確認するのです。

     たいていは、ずうずうしい不法係留者で、なんだかんだとすごんできます。多くの船舶所有者は、マリーナなどの保管場所へ泊めているのに、不法者は気楽に河川へ泊めます。それも、河岸へ単管パイプを打ち込んで組み上げ、桟橋を造っているのです。

     河岸は何百メートルも単管パイプ桟橋でぎっしりなので、きれいな川なのに絶好の釣り場として利用できない状態です。散歩もできません。過去の河川巡視が甘かった事もありますね。不法係留船舶が河川に急に増えるわけは無いので、その都度是正していけば良かったんですよ。

     現地に船舶の所有者が居ない場合は、新発見した船舶の「船舶番号」をチェックします。「230-1234」と記されたシールが貼ってありました。これが船舶番号です。おまけに、船舶には「不法丸」とか書かれています。(船舶名や番号は一例ですよ)

     船舶名や船舶番号をメモして、近所(管轄)の「小型船舶検査機構」へ行き、申請用紙へ記入して所有者情報などを取得していました。

     不法係留船や不法桟橋には「警告文書」(通し番号付き)を貼って状況写真も撮影します。所有者が判明すればスグ電話です。しかし、電話で注意してスグ改善する人はほとんどいません。
     現場で出会えた所有者へ注意指導した時に、「あーあー、わかったよ」とか返事をしてくれる人はまだ良いほうです。ほとんど無視されるか、自分勝手な言い訳のオンパレードです。

     ひどい時は、か弱い公務員を脅してきます。不法者対応に慣れているとはいえ、不法仲間数人に取り囲まれた時はボコされるのを覚悟しました。頭の中では、その展開になれば日頃の警察との連携へ持っていけると期待もしていました。残念なことに肩も触ってくれなかったので、ほっと一安心の河川巡視でした。

     不法係留船対策は、このような対応が続いていきます。

     次回も、どのように対策していったかの具体事例をもう少し話したいと思います。




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     河川管理者の許可を得ないで、河川区域内へ船舶を係留保管させたり桟橋等の工作物を設置することは、河川法第24条及び第26 条第1項の規定に違反することになります。

     最低限必要な対策としては次のとおりです

    ・現地へ注意看板を設置して注意警告
    ・不法設置桟橋への警告文の貼付
    ・所有者調査し「是正指示書」の発出
    ・所有者不明の不法係留船へ警告文を貼付
    ・不法係留船周りに散在する不法投棄物の現地対策を実施
    ・以上の対策で、所有者による自主的撤去を実施させる
    ・所有者不明の船舶に対して「簡易代執行」を実施
    ・河川区域と港湾区域の重複区域があれば、河川管理者と港湾管理者が協力して対策を進める
    ・県条例に基づくプレジャーボート対策調整会議を設置できるかがポイント。関係者が連携して具体的な対策を計画し実施していくた めに必要な会議である。関係者としては、河川管理者をはじめ、港湾管理者、港管理組合、地域自治体、地元代表者、プレジャーボー ト組合、NPО、ボランティアほか多くの人達で構成します。この会議さえ動き出せば、今まで以上に本格的に対策は進みます。
    ・調整会議において、不法係留船の保管場所について計画。行政は川から出て行けとばかり言う・・・なんて言わせない。正しい保管 場所へ移動させるための計画である。
    ・調整会議における対策計画で、「重点的撤去区域」を設定し、優先度をつけ段階的に撤去対策を進めていく
    ・自主的撤去を促すだけでなく、行政代執行も見据えた強制撤去対策を進めていくことが重要。


     次回も、不法係留船対策について続きます





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    ①まず第一は、不法係留船や無許可工作物を発見し原因者調査を実施することからスタートです。
    ②注意文書を船舶や無許可工作物へ掲示したり河岸に警告看板の設置は基本です。小型船舶検査機構で所有者情報が確認できたら、判明した原因者へ電話連絡します。
    ③注意文を見た原因者より連絡が来る場合もあります。河川監理員は継続して現地調査を行います。
    ④過失無き所有者確知作業の結果、
    ⑤原因者確知した場合は、行政指導し自主的撤去させることが重要です。なんでもかんでも強制的にではなく、不法行為を認めさせ、自主的に撤去することが一番良い解決です。
    ⑥どうしても自主的撤去しない場合は、河川法第77条の指示書発出や75条第3項の公告文書となります。
    ⑦指示書や、公告文の発出後は、原因者からの連絡待ちとなります。自主的撤去の実施待ち及び現地の調査確認対策が続きます
    ⑧それでも自主的撤去しない場合は、
    ⑨河川法第75条第1項の通知です。
    ⑩それでも自主的撤去しない場合は、
    ⑪代執行法に基づく戒告通知を行うこととなります。とうとう河川法による対策の枠を超えてしまいました。
    ⑫それでも自主的撤去しない場合は、
    ⑬「行政代執行の実行」です。そして「保管」
    ⑭原因者に対して行政代執行の費用負担請求(納入告知による)は必ず行います。払うまで追い続けます。公務員はしつこいです。
    ⑮原因者に対して保管物件の引き取り催促(保管費用の請求)をします。
    ⑯費用負担請求の督促はしっかり行います。
    ⑰拒否の場合は「供託」や「執行費用の徴収(国税徴収法)」に進むこととなります。河川管理者の手を離れてしまいました。


     上記のうち、発見当時から過失無き原因者確知作業の結果、どうしても原因者不明の場合、河川への支障の状況により「簡易代執行」へ 進みます。警告や公告などで撤去期限として約1週間後、「簡易代執行」です。あとから原因者が判明した場合は、簡易代執行や保管 に要した費用の負担請求(納入告知)をします。あとは行政代執行手続きと同様に進むのです。





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    強制代執行の要件とは
     記憶の範囲内でまとめたメモなので誤記等あれば、ゴメンナサイ。

    Q当時の状況と対策経緯などを説明し、河口部の不法係留船舶について行政代執行は可能かどうかを伺いました。
    A法律に基づく作為義務があるにもかかわらず、
     (作為義務の存在=法律の根拠を基に行政庁より命ぜられた行為、除去命令等)
     (法律上は河川法75条第1項に明記されてます)
     履行されず、
     (義務の不履行)
     他の手段による履行確保が困難であるうえ、
     (撤去という行為自体が目的のため)
     著しい公益確保に支障がある。
     (河川法違反による再三の除却指導に従わない)
     (河川区域外への除却以外に目的は達せられない)
     (法律違反のみならず、河積阻害・津浪被害の原因にもなりかねない)
     (河川法違反、地震による津波被害の助長が想定される)

     と言えるため、行政代執行は可能である。・・・というカンジだったと思います。


    Q戒告による猶予期間が少なすぎるかどうかを相談したところ、
    A設定日時までに撤去が可能だったかどうか。受け入れ先の確保に日時を要するというのは理由として認められない(購入時に適法な保管場所を確保すべきである)

    Q代執行が判然としない
    A地震の発生は近いと言われている現状では実施時期の理由を気にしなくて良い。

    Qどの法規に基づいて違法性があるのか
    A河川法違反であることは明白。

    (そのほか)

    ・代執行自体の是非を争うものではなく、手続きの正当性の有無が裁判で争われる。
    ・河口部に漁船の不法係留があル場合は、漁船の扱いを法的(河川法解釈)・行政的(港湾管理者との調整)に整理できていない時点で行政代執行に踏み切ると裁判時に窮する。

    ・行政代執行に「港湾許可の漁船」を含める場合は、行政的問題が争点となる。(一方は適法、一方は違法という状態では行政の一体性に欠ける)

    ・河川法違反のみに着眼するのであれば漁船も代執行対象とするべきである。
    (歴史が長い分、不法行為状態も長期にわたると言える。津波被害が懸念される地区ならばなおさらのこと。ただし、漁協が港湾法上の許可を指摘してきた場合は裁判で窮地に立たされるであろう。漁船の係留が港湾法上許可されているのであれば、法的作為義務の存在を否定されかねない。

    ・行政代執行に「港湾許可の漁船」を含めない場合は、法的問題が争点となる。(河川法上、漁船とプレジャーボートを区別する法的根拠がない。)

    ・河川法には「違法行為の是正に関しては別法に定める」とか「他法を尊重せよ」とか「他法を考慮せよ」とは書かれていない。漁船に対する港湾法上の許可は河川法上の行政行為に何ら影響を与えるものではない。

    ・基本的に行政処分は法の下に平等である。

    ・「通達」は根拠にならない。裁判官は通達には縛られない。

    ・漁船に対する港湾法上の係留許可を根拠として持ち出そうとすると、河川区域と港湾区域の重複が問題視される可能性が大きい。港湾管理者が行政代執行を実施するのもひとつの手である


     法的な側面を踏まえて検討。後日の「調整会議」の立ち上げに繋げることができました。やはり法的な面を法務局や弁護士に相談することは、具体的な対策を予定するうえで重要ポイントでした。



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